割賦販売法改正もう一つの法改正

割賦販売法改正もう一つの法改正

改正貸金業法と並んでクレジット業界を騒がせているのが割賦販売法改正の動きである。その標的になっているのが「個品割賦」である。「個品割賦」とは「ショッピングローン」とも呼ばれ、クレジットカード(総合割賦)を使わず、個々の商品ごとに消費者と信販会社が契約を結ぶ方法だ。経済産業省は、個品割賦による悪質商法によって多重債務者が増えているとみて、割賦販売法の改正を検討し始めた。

 

新聞やテレビなどで、高齢者が悪徳業者の押し売りにあって悲鳴をあげているニュースをよくみる。高級な布団や不必要なリフォームで、法外な金額を請求されている。特に一人暮らしのお年寄りや、家族と住んでいても昼間にお年寄が一人でいる場合、自宅を訪れる販売業者の言うがままに商品を買ってしまう事例が目立っている。

 

その陰には悪徳業者と結託した信販会社と、高額な金額でも簡単な審査だけで分割払いが可能になる「個品割賦」という仕組みがある。経済産業省では、この仕組みを公正なものに改正しようとしている。同省の「基本問題小委員会」現在検討されている内容は、以下の項目である。

 

2007年6月下旬にこの小委員会から中間整理が出されたが、さらに08年の通常国会に割賦販売法の改正案として提出される見込みだ。

誰のための法改正か?

消費者保護のためには、現状のままで見過ごすことができないことは事実で、当然、悪徳業者の排除は行われてしかるべきだ。違法で過剰な貸付は言語道断。ただ、私か心配しているのは、規制を徹底しようとするあまり、一般のクレジットカード取引全般まで規制をかけゆおとする動きが見えることだ。とくに基本問題小委員会の中で、「総量規制」が検討されているが、これはまったくの過剰反応というしかないと思っている。

 

たとえば、「総量規制」といって年収の3分の1しかクレジットカードが利用できないことになると、600万円の年収の人の場合は200万円しか利用できなくなり、家電製品やパソコンなどの大きな買い物が難しくなる。また、海外旅行で買い物をするときにカードで払おうとしても「総量規制で利用できません」と放り出されてしまう。これでは、せっかくの楽しい旅行が台無しになってしまうだろう。

 

そもそもクレジットカードは入会時に本人の審査がなされており、さまざまな条件から利用可能枠が決められている。結婚や就職をけじめとする多くの人生のイベントでは一時的に出費がかさむこともあるが、これも総量規制が導入されることにより計画的な購入ができないことになってしまう。

 

さらに委員会ではマンスリーウイークリアともいえる。「一回払い」についても割賦販売法の適用範囲内に置こうという意見もあり、ここまで来ると消費者保護というよりも、消費者の権利の侵害につながるのではないか、ひいては景気の足を引っ張ることになるのではないだろうかと危惧してしまう。

 

幸い日本弁護士連合会の意見書では、今のところそこまで踏み込んではいないようだから少し安心しているが、貸金業法改正のときに非常に厳しい規制が出てきたことを考えると、今回も同様の厳しい内容になる可能性があるので、十分経緯を見守っていきたい。また、同時にクレジット業界側でも自主規制を強化し、法改正とのベストミックスを図る動きも活発化させる必要があるだろう。

 

割賦販売法改正で思うのは、法律一つでこれまで培ってきた消費文化が消えてしまうのだから、怖いことだということだ。立法府は自らの力の行使について、その破壊力をよく知り、慎重にお願いしたいものだ。